Easy Exercise

勉強したこと、見つけたことのメモ。

Sakugawa-Seki の恒等式

Euler によって初めて示されたとされる、調和数 に関する次のような等式が知られています。 \begin{split} \sum_{k=1}^n (-1)^{k - 1} \binom{n}{k} \cfrac{1}{k} = H_n. \end{split} この等式は Hoffman によって多重調和和に関する等式に拡張された後、更…

Ohno-Zagier 関係式

この記事は Zeta Advent Calendar 2020 - Adventar の20日目の記事です。 正の整数の組をインデックス(index)と呼びます。インデックス が を満たすとき を許容インデックス(admissible index)と呼びます。 インデックス に対しては、その深さ(depth)…

MZVとMZSVの和公式

この記事は adventar.orgの13日目の記事です。 多重ゼータ値(multiple zeta value, MZV)とは、整数 に対し \begin{split} \zeta(k_1, k_2, \cdots, k_r) := \sum_{0 \lt m_1 \lt m_2 \lt \cdots \lt m_r} \cfrac{1}{m_1^{k_1} m_2^{k_2} \cdots m_r^{k_r}}…

隣接代数のゼータ関数

本記事は adventar.org の6日目の記事です。 この記事では隣接代数と呼ばれる組合せ論的に定義される代数と、そのゼータ関数について解説します。また以前の記事で紹介したゼータ多項式との関係を紹介します。 隣接代数とは 隣接代数は局所有限半順序集合に…

q-二項係数について

-二項係数はある非可換な代数の二項展開の係数として解釈できることを示し、これを用いて等式 pic.twitter.com/johyeVxEKo — 級数bot (@infseriesbot) 2020年10月3日 を証明します。 -類似とは -類似については以前の記事 oddie.hatenablog.com にも書きまし…

第二種 Stirling 数の一般化

第二種 Stirling 数の一般化である associated Stirling number of the second kind についてのメモ。 本記事を通し と表します。 第二種 Stirling 数 まず第二種 Stirling 数とは何なのかを簡単に復習します。 定義1 の空でない 個の部分集合への分割の個…

Multipartite P-partition の q-多重ガンマ関数への応用

3月20日の講演の発表資料を公開します。 drive.google.com この原稿は、たけのこ赤軍さんのブログ記事 http://o-v-e-r-h-e-a-t.hatenablog.com/entry/2018/10/07/235755 o-v-e-r-h-e-a-t.hatenablog.com の影響を受けて、-多重ガンマ関数の展開 に現れる多項…

この前のブログに書いたやつが "zeta polynomial" だった件

以前の記事 oddie.hatenablog.com で という組合せ量を定義しました。これは有限体 上の 次元ベクトル空間 における部分空間の列 \begin{split} 0 = V_0 \subset V_1 \subset \cdots \subset V_m = \mathbb{F}_q^n \end{split} の個数に等しいものでした。 …

Hecke L 関数の岩澤-Tate 理論 (前編)

この記事はゼータ Advent Calendar 2019の4日目の記事です。 adventar.org 元々は一本の記事で書く予定でしたが、長くなりすぎてしまうため前編と後編に分けることにします。 この前編の記事では、岩澤-Tate 理論の解説の前提知識として、位相群上の調和解析…

q-combinatorics と有限体

ブログはかなり久しぶりの更新になります。 ツイッターで写像 相の -類似やその幾何的実現という魅力的なワードを見かけたので、そのうちの つについて -類似と有限体を用いた実現を与えました。多項定理の -類似についても書きました。 drive.google.com §3…

ディガンマ関数

ディガンマ関数と自然数の累乗の逆数和との関係についてのメモ。 ディガンマ関数 ディガンマ関数とは、ガンマ関数 の対数微分 で定義される関数です。 ガンマ関数の無限乗積表示 ガンマ関数の無限乗積表示について復習します。 命題1 全ての に対して が成…

ニムゲームと排他的論理和

ニムと呼ばれる二人で行うゲームの必勝法と、それにまつわる演算を紹介します。 ニム ニムは二人のプレイヤーがいくつかの石の山から石を交互に取り合うゲームです。ニムのルールはいろいろバリエーションがありますが、次のルールを考えます。 ニムのルール…